2013-12-01から1日間の記事一覧

別れぬ理由  45

ーー春日井ツヨシ君にーー 男と女が仲よくなる これは努力のもんだいではない 仲よくしていた男と女が 仲よくできなくなるときがきて ここに はじめて 努力のもんだいがあらわれる 仲よくできなくなったふたりは そのとき 仲よくしようと努めなければならな…

ヘンデアルとグレーテル  44

むすこが このごろ ヘンデアル むすめは まえから グレーテル ははは あさから ノンデイル ちちは まいにち ウレエテル

とうさんかあさん  43

とうさん そとで ふらふら かあさん ひとり こそだて かあさん いらいら こども はらはら とうさん うちで のらくら こどもを どなる こらこら かあさん いらいら こども はらはら とうさん よそで ぺらぺら くろうするよ と ぺらぺら かあさん いらいら こ…

じいさんばあさん  42

ばあさん にわを はいたかい ばあさん ごみを やいたかい ばあさん ろうか ふいたかい ばあさん めしは たいたかい ばあさん ふろは わいたかい ばあさん さけは ないのかい ばあさん かんは ついたかい ばあさん ふとん しいたかい じいさん おまえは へい…

つかれたかれ  41

つかれたかれに すかれ つかれたかれに ひかれ つかれたかれに だかれ つかれたかれに やかれ つかれたかれに たたかれ つかれたかれと わかれ わかれて かれに なかれ かれよ つかれるなかれ つかれさせるものに いかれ

いいきかせるうた  40

求めてはいけないことがあり 求めてよいことがあり 求めなくてはいけないことがある 拒んではいけないことがあり 拒んでよいことがあり 拒まなくてはいけないことがある 口に出してよい願いがあり 口に出してはいけない願いがあり 願ってはいけない願いがあ…

アワビのうた  39

――我は思ひ人は退(の)け引く是(これ)や此(この)、波高(なみたか)や荒磯の、 鰒(あはび)の貝の片思(かたおもひ)なる―― きみの愛するひとが きみを愛してくれないとき きみは なにによって それにたえるか きみがそのひとを愛しているということ そのことによ…

アイサントスとアイサレントス  38

愛しているほどには愛されていない そう感じると ひとは自分の愛を撤回しようとする 相手の無関心とつりあうところまで だから ひととひととのかんけいで たがいの愛や関心は 低いところで均衡するのだ つまらぬことだと きみはおもわないか 愛しているほど…

ヴェスヴィオの大自信  37

本日午後一時ごろ ヴェスヴィオの心中に 突如 自信が発生しました 自信の規模は きわめて大きく 気性庁では 震度10の過信に相当するのではないか と見ています 信源地は オフィスの廊下 そこでヴェスヴィオがフランチェスカにデートを申し込み いいわよ と言…

横浜・港南台  36

「かのじょは おやのうちをでて 港南台に ひとりすむ おやもと はなれた そのわけは じつは これこれ こうなんだい」 「すると かのじょの けっこんは まだ しばらくは ないわけか したしくしていた あのおとこ かれとの かんけい どうなんだい?」 「わかれ…

横浜・新杉田  35

ヨットの見えるレストラン あなたと会った新杉田 しんみりしすぎた のみすぎた 終電乗るには おそすぎた 盛りをすぎた梅の寺 あなたと別れた新杉田 たがいの手の内 しりすぎた いっしょにいくのは おもすぎた

横浜・磯子  34

磯子の駅前 いそいそ いそぐ あなたを見かけて 声かけた 「いかない? そこの しろいカフェ あそこのコーヒー 磯子一」 「いそぎますので しつれいします まっていますの こんやくしゃ いそぐ けっこん 磯子のおかの ホテルでやります ひろうえん」 そういそ…

横浜・根岸  33

春なお浅い三溪園 走っていった ひるやすみ まずは甘酒 時計は見るな 目にやわらかい ねこやなぎ 雨のふる日の ひるやすみ のぼる 根岸の ななまがり 散らずに ぽとんと 落ちてる椿 なぜか気になる ななまがり きょうもでかけた ひるやすみ 走ってもどる 不…

横浜・山手  32

みなとのみえる おかのうえ ふたりであるく さんぽみち いってしまおう いいたいことを いまをのがせば ときはない やまて いやまて ここらは山手 つと たちつくす さんぽみち しずむ夕陽に 洋館の 影うつくしい さんぽみち ずっと このまま だまっていよう …

横浜・関内  31

会おうと誘えば 来るには来るが 来ても なぜだか うちとけぬ わからぬままに 今日も待つ 大きな窓の喫茶店 景色は こんなに あざやかなのに 彼女の こころが わからない ああ わからない わかんない ここは関内 わかんない デートしたこと すくなくないが ほ…

窮極の予備校オノイケ学院のうた  30

行きたくたって行けないと あきらめるのは まだ早い おのおの行け行け おのれの道を オノイケ学院 応援するぞ 考え抜くにはコツがある コツを教える講師(ヤツ)がいる おのおの聴け聴け 苦心の講義 オノイケ学院 力になるぞ オノイケ学院 はいっても 勉強す…

難你模仙人  29

なにしとるんぺんぷろれたりあ くちびるとがらせくびふるぷちぶる ごめんしえびき むさぼるしえびき はらびいき えがわびいき どうにでもなろーどにき なんだってえーでるわいす なんにもせんにん

デスペラントついに錯乱す  28

いつも フラフラ ひとと ペラペラ しごと ポラポラ だから まだヒラ かぞく バラバラ ひとり ブラブラ まわり ハラハラ へいき ヘラヘラ なんだ そのツラ ひたい テラテラ うわめ チラチラ あせが タラタラ のどが カラカラ あたま くらくら まなこ ギラギラ…

幽霊亭主人の冬のうた  27

(♪「雪」のメロディーで) 今夜も こんこん お客が こんこん 待っても 待っても まだ あらわれぬ 亭主 不安で 部屋 駆けまわり 頭かかえて くらくなる 今夜も こんこん だあれも こんこん 店の借金 ずんずん積もる バイトの娘(こ)たちも愛想をつかし ひと…

幽霊亭の美女  26

うつくしい娘が ひとり ふらふらと はいっていった あの幽霊亭 ユーレイ ユーレイテー 娘という娘は みんな避けるのに なぜはいったか あの幽霊亭 ユーレイ ユーレイテー 娘とはいえぬ娘が はらはらと 泣いてる あやしい茶(ティー)を飲まされて ユーレイ …

モノタリーヌのばあい  25

モノタリーヌは いつも なんとなくものたりないようなかおをしていたので おっ ここは おれの出番かも と かってに思って 男たちが ちかづいてきたが いくらつきあってみても モノタリーヌが いっこうにものたりてきそうにないので あっ こりゃあ だめだ と …

ダメハメハ大王の明察  24

ひとは こどもをうみそだてるために生きているのではない マンションを買いローンを返済するために生きているのではない ましてや 社会に貢献するために生きているのではない ひとは なにかをするために生きているのではない ひとは なんのためにでもなく ま…

モノレール会社社長ノレル氏の自慢  23

いつでものれる モノレール だれでものれる モノレール みじかいじかんで かなりのきょりを いってもどれる モノレール いつでものれる ものれーる どこでものれる ものれーる どんなはなしが だれからでても わたしものれる ものれーる

トリミントスのうた  22

胸のあたりに ぽっかりと 空のようなものが ひらけていて その一角を すっと よぎる影がある 鳥か? 見さだめる間もなく 影は消える あれは鳥だったか ちがったか そこで わたしは なにをすればよいか もういちど あの空のようなものを かかえること 胸のあ…

そらみるひとソラミーロフ  21

いやなやつなんだ ひとのすることを わきでみていて たまたま しっぱいしたりすると そらみろ そらみろ というんだ そういうおまえはどうなんだ といってやりたいんだが まずいことに あいつは そらをみているのがすきなんだ

ブラサガレンコのうた  20

じまんじゃないけど ぼくのうでは ほそくて ちからがよわい しがみついたり ぶらさがったり そういうのは とくに にがて ろーぷにつかまって みんなでにげるようなときは きっと まっさきに おっこちちゃうよ つきはなしたり おしのけたり そういうのは わり…

ハーゲンダッツのうた  19

わたくしが 例によって 東京の下町などを ゆうぜんと散歩していると あっ あのおじさん つるつるあたま! などというのは まだいいほうで ひどいのになると とおくから はげ! と ひとこえたかく叫んでは こらえきれぬようすで ククク…… と わらったりする …

マチオブラジェンスキーの満足  18

まちをあるいていると よく みちをきかれる みちをきかれるという それだけのことが わたしには なぜか うれしくかんじられる なぜうれしいのか と かんがえてみる じぶんがみとめられたからだ と おもう あるいているひとは おおぜいいるのに みちをきくひ…

怪獣セケンガウルス  17

自由に生きたいと思うのに セケンの目が気になって あなたは自由に生きられません セケンがあなたを認めてくれるかどうか あなたはやはり気になります あなたのまわりの人も言います わたしはなんとも思わないけどね セケンがどう思うか…… ああ セケンって …

ステンカ老人のうた  16

したくないことはやめてしまえ 「それではすまない」 などと いったいだれが言うのか ほんとうにそれではすまないか それでいったいだれが困るのか もしかすると 困るのは君自身ではないのか 虚栄心の強い君は 自分が愛してもいない行いによって ひとに愛さ…