ヒマジンガーあちこちにあらわる

クジラとゴジラ

(ヒマジンガーZのはじめにことばあるき 2007-11-22記) 京浜急行・北品川駅の改札口の前にある「旧東海道品川宿」の案内図に「ゴジラ上陸地点」の文字を見つけたのは、寛政十年(一七九八年)に品川の海で仕留められたクジラの頭部を埋めたという場所を訪…

琵琶湖のスケッチ

四つの店の窓辺から 見おろしている湖を 斜めによぎる二すじの帯は 今しがた歩いて渡った琵琶湖大橋 ゆるやかなアーチの下を くぐって行く白い遊覧船 (ホテル琵琶湖プラザ14階) 見おろす渚に 静かに寄せる波 水平線の青い島影 右から左へ一直線に水を切っ…

洗足池

満足している 洗足池の みずと みどりを みてるとき 池のまわりの 木立の上に 顔をのぞかす ビルはない 水辺のテラスで コーヒーをのみ かぜにふかれる ここちよさ メタセコイアの こずえがゆれる 池に こまかい 波がたつ みずのおもてに 魚がはねる ダイビ…

下北半島 大湊

工作艦のいる港の 防波堤となっている緑の砂嘴を (「砂嘴」↓) 左手に見ながら行く道に面した家々の およそ半数は玄関を二重にしてある ゆるゆると近づいてくる スピーカーの声 スイカにメロン トマト ナス キュウリ …… とれたてだとも うまいとも やすいと…

ビルの谷間で

クリーム色の壁に 上辺がアーチの縦長の大きな格子窓がふたつ 外には楓の細い幹が伸び 梢のちいさな葉が風にこまかく震える ビルの谷間を 空気は水のように流れ 照明を抑えたこの店のテーブルで ひとりしずかにコーヒーを飲んでいると じぶんが水の底にいる…

大かねもち

北鎌倉の駅のそば ふるい菓子屋の店先で ふと目が行った貼り紙に 「大かねもち」という文字が このもち買って もちあるき 「食べれば大かねもちになる」 吹聴しようと もちを買い 由来を聞けば いや 意外 「かね」は円覚寺の鐘で 六十年に一度ある 大鐘祭の見物…

福石

ドリンクの空き缶 煙草の空き箱 スナック菓子のあき袋 発泡スチロールの梱包材のかけら 丸められたチラシ 最低料金区間の電車の切符 などなど 横浜市金沢区瀬戸 琵琶島神社鳥居脇の 高さ二メートル近い「福石」の周囲に散乱している それらのゴミを私は拾い …

どんどんつく

東京都大田区池上にある本門寺は日蓮入寂の地で日蓮宗の四大本山の一つ。 お会式(えしき)は、日蓮の忌日である十月十三日を中心に行われる法要。 名物の万灯(まんどう)行列は十二日の夜に行われる。 いけいけ 池上本門寺 今日はお会式 お参りに 出かける…

湘南モノレール

だれでも乗れる モノレール いつでも乗れる モノレール 大船から 湘南江の島へ 行って戻れる モノレール ゆらりとゆれる モノレール カーブでゆれる モノレール レールに載らず レールの下に ぶらさがって行く モノレール 飛行機に乗り 飛んでるみたい 下が…

市大病院のカフェ

横浜市金沢区の横浜市大病院で そら うみ ふね しま みずべのみどり あか しろ まだらの大クレーン シーパラダイスの三角屋根も 見える窓辺で コーヒーを飲む 市大病院十階のカフェ しだいに初夏の陽がかたむけば そら うみ ふね しま しだいに いろが うつ…

ふるさと村の五月

横浜市青葉区の寺家ふるさと村で 電車を青葉台で降り あるいて鶴見川に出る 遠回りでも 川岸を あるいて ふるさと村に来る ふるさと村の 山すその 木立の中にある店の 窓辺で ほっと コーヒーを のみながら見る 水 みどり 五月の午後の 陽に光り 風にふかれ…

ひらら  高崎のカフェ「比良羅」で

はるのひるどき たかさきに ふらりとおりて ほりばたを ひとりあゆめば はながちる ひららはららと はながちる はるのひるどき ほりばたの 比良羅でひとり コーヒーを のめばひららと はながちる ひららはららと はながちる はるの日が暮れ ほりばたの はな…

夢の中で

北鎌倉の画家 田口弘勝さんの個展のために 彼は少年のように山や谷を探検し 落ちかかってくる風景の断片を拾い集める 持ち帰った風景の断片を彼は天井から吊し それを見上げながら眠りに落ちる 夢の中では広場に人が集まっていて そこで彼は一場の演説を試み…

たそがれは

北鎌倉のギャラリー・ネストで松井陽水さんの彩墨画「白暮の調べ」を観て たそがれは―― ひたひたと想像の水位が高まるとき あらゆる境界が 薄れ 消えてゆくとき ほのかに光を放つ遠い記憶を追って 時の流れに掉さす あなたのゴンドラが 波の上にたゆたうとき

十二月のサルビア

みちばたの ちいさな花壇に ひとむれ 立ち枯れた サルビアの かわいた花弁が 風に鳴る 十二月の風に からからと鳴る わたしは あゆみをとめて 地に生えたドライフラワーの 色あせた花穂に手をふれてみる それから また あるきだす こころよ からになれ から…

幻花

群馬県群馬郡榛名町にある 坂東三十三箇所観音霊場の第十五番札所 白岩観音を目指し 高崎の街から北西に向かって歩きだしたのは 秋の彼岸の土曜日の午後 市街地を抜けるあたりから雨になったが 降るとも言えぬほどの小糠雨で 空は歩き始めた時よりかえって明…

青森港

十二年前函館駅のホームに立って 乗って帰ろうかと迷ったあげく とうとう乗らなかった連絡船 今はメモリアルシップとなって つながれている八甲田丸 キャビンの窓辺でコーヒーを飲み 船を下りて芝生を歩いて行くと センサーを仕込んだ歌謡碑から 流れ出す「…