青森港
十二年前函館駅のホームに立って
乗って帰ろうかと迷ったあげく
とうとう乗らなかった連絡船
今はメモリアルシップとなって
つながれている八甲田丸
キャビンの窓辺でコーヒーを飲み
船を下りて芝生を歩いて行くと
センサーを仕込んだ歌謡碑から
流れ出す「津軽海峡冬景色」
ゆるやかに揺れる波のリズム
石のオットセイもいる水辺の散歩道で
藍のワンピースの少女たちと行きあった
円い葉のような白い襟 胸に韓国の国旗
ロシア語の案内板もある埠頭を過ぎて
河口の公園で見たハマナスの赤い実
歩いて渡ったベイブリッジの
ライトアップが青から緑に変わる
ホテルのスカイバーでひとり
暗い水を見下ろしている
ねぶた祭の前夜