ビルの谷間で

クリーム色の壁に

上辺がアーチの縦長の大きな格子窓がふたつ

外には楓の細い幹が伸び

梢のちいさな葉が風にこまかく震える

ビルの谷間を 空気は水のように流れ

照明を抑えたこの店のテーブルで

ひとりしずかにコーヒーを飲んでいると

じぶんが水の底にいるようにおもえてくる