2013-12-03から1日間の記事一覧

ヨシコの恋

「よし 今年こそ」と ヨシコは決めた そこに男があらわれた 「まあ よしとこ」と ヨシコは決めた 相手は追ってこなかった 「よし 今年こそ」と ヨシコは決めた そこに男があらわれた 「よし この人だ」と ヨシコは決めた 相手が乗ってこなかった 「よし 今年こそ…

琵琶湖のスケッチ

四つの店の窓辺から 見おろしている湖を 斜めによぎる二すじの帯は 今しがた歩いて渡った琵琶湖大橋 ゆるやかなアーチの下を くぐって行く白い遊覧船 (ホテル琵琶湖プラザ14階) 見おろす渚に 静かに寄せる波 水平線の青い島影 右から左へ一直線に水を切っ…

洗足池

満足している 洗足池の みずと みどりを みてるとき 池のまわりの 木立の上に 顔をのぞかす ビルはない 水辺のテラスで コーヒーをのみ かぜにふかれる ここちよさ メタセコイアの こずえがゆれる 池に こまかい 波がたつ みずのおもてに 魚がはねる ダイビ…

下北半島 大湊

工作艦のいる港の 防波堤となっている緑の砂嘴を (「砂嘴」↓) 左手に見ながら行く道に面した家々の およそ半数は玄関を二重にしてある ゆるゆると近づいてくる スピーカーの声 スイカにメロン トマト ナス キュウリ …… とれたてだとも うまいとも やすいと…

ビルの谷間で

クリーム色の壁に 上辺がアーチの縦長の大きな格子窓がふたつ 外には楓の細い幹が伸び 梢のちいさな葉が風にこまかく震える ビルの谷間を 空気は水のように流れ 照明を抑えたこの店のテーブルで ひとりしずかにコーヒーを飲んでいると じぶんが水の底にいる…

やむをえぬやまい

がんばりすぎると ガンになる せっかち せきこむ せきがでる のろまは せかされ ノイローゼ のんびりさせれば なおろうぜ しごとの しあげを こるひとは かたもこります こりゃ とうぜん まえばかりみているひとは くびがまわらぬようになる はったりいうひ…

わるくちを聞く

わたしは話の聞き役だ ぐちや じまんは へいきだけれど わるくち聞くのは むずかしい ぐちや じまんは 聞かせる人と 聞き役つとめる このわたし ふたりだけゆえ 気が楽だけど わるくち聞くときゃ もうひとり わるくち言われる人がいる そこにはいない その人…

がんばって

がんばりなさいね がんばって がんばりゃ なんとかなることか ならぬことかは しらないが とにかく がんばれ がんばって がんばりなさいね がんばって がんばりゃ なんとかなることだ どうがんばったら いいかって? そりゃ わからんが がんばって がんばり…

あたらしい帽子

北鎌倉の帽子作家 かとうひろみさんに あたらしい帽子 そっと あたまにのせる フィットする帽子 すっと せすじがのびる あたらしい帽子 かぶって でかける いいこと ありそう いいひとに あえそう ほっとする ひととき はっとする であい ふっとわく アイデ…

大かねもち

北鎌倉の駅のそば ふるい菓子屋の店先で ふと目が行った貼り紙に 「大かねもち」という文字が このもち買って もちあるき 「食べれば大かねもちになる」 吹聴しようと もちを買い 由来を聞けば いや 意外 「かね」は円覚寺の鐘で 六十年に一度ある 大鐘祭の見物…

福石

ドリンクの空き缶 煙草の空き箱 スナック菓子のあき袋 発泡スチロールの梱包材のかけら 丸められたチラシ 最低料金区間の電車の切符 などなど 横浜市金沢区瀬戸 琵琶島神社鳥居脇の 高さ二メートル近い「福石」の周囲に散乱している それらのゴミを私は拾い …

どんどんつく

東京都大田区池上にある本門寺は日蓮入寂の地で日蓮宗の四大本山の一つ。 お会式(えしき)は、日蓮の忌日である十月十三日を中心に行われる法要。 名物の万灯(まんどう)行列は十二日の夜に行われる。 いけいけ 池上本門寺 今日はお会式 お参りに 出かける…

どかん

どかんか どけどけ みんなどけ この おれさまの おとおりだ みんな どけどけ みちあけろ じゃまになるもの かたづけろ どかんか どけどけ なぜ どかん どけというのに どかんとは けしからんやつ なにやつだ さあ 名を名のれ なに 土管? 土管を どかせろ い…

マッシュルーム殺人事件

「林檎殺人事件」を憶えているかね ワトソン君 しいたげられた シイタケと ただ待つだけの マツタケと じめじめくらい シメジとが いっしょに住んでた マッシュルーム ミイラになった シイタケと 泥にまみれた マツタケと だれかがばらした シメジとが いっ…

ステータス

うちは貧乏スてーたス みんなが馬鹿にスてーたス それで故郷を捨てーたス オラは成功スてーだス 努力で築いたスてーたス きれいさっぱり捨てーたス いままで無理をスてーたス 気楽な生活スてーだス

おやおや

おっと おっとじゃないのかい おっとじゃないのに おやなのかい おやおや どういうことなんだい おんなを なかせているのかい つまり つまではないのかい つまではないのに うんだのかい おやおや それでいいのかい おやは みとめているのかい せきをいれず…

わたしにとってA子とはなにか

A子とあるいているときに たまたま しってるひとにあい おくさんですかと きかれたら こたえにつまるか つまらない A子は わたしの つまじゃない こんいんとどけは つまらない こんごとも だすつもりない つまり A子は つまじゃない でも ないえんの つま…

げんきな女

まいあさ はやおき ぱっちり めをあき しっかり はみがき しごとは てきぱき にわはき ゆかふき めしたき ふろたき ごきぶり おいかけ ぴしゃりと たたき あれこれ きがつき なにかと きがきき しらぬと すぐきき へんじは はきはき ゆうずう よくきき てき…

らいらい軒

らいらい軒のスープはからい 店のおじさん 気があらい ガラスよごれて 店内くらい おばさん 掃除がだいきらい らいらい軒の息子は無頼 ガキのころから 賭事ならい 店の売り上げ 横目でねらい 油断みすまし すっかりさらい 売り上げさらわれ 夫婦はつらい 肉…

したくない

「したくないったら したくない 食事の支度 したくない 今夜は帰宅したくない あいつの顔など見たくない したくないったら したくない 毎日洗濯したくない 洗濯屋にも出したくない 洗濯あいつにやらせたい いたくないったら いたくない このまま一緒にいたく…

せわしない

機嫌よかない 余暇がない 妻の心は せわしない 夫は子供の世話しない 育児をしない いくじなし 機嫌よかない 余暇がない 妻の心は せわしない 夫は親の世話しない 四の五の言ってる ろくでなし 機嫌よかない 余暇がない 夫の心も せわしない どうせ そう出世…

つかれた男

「たのめるひとは あなただけ だいて」 といわれ いいだくだく だけど なれないことだけに つかれましたよ あせ だくだく あかちゃん だくのは つかれます

ものになる女

「あなたを きっと ものにする」 「されてたまるか あかんべえ わたしはひとだ ものじゃない ものになるのは いやなんだ」 「あなたは きっと ものになる」 「そうよ わたしは ものになる じぶんの選んだ この道で 実力発揮し ものになる」

湘南モノレール

だれでも乗れる モノレール いつでも乗れる モノレール 大船から 湘南江の島へ 行って戻れる モノレール ゆらりとゆれる モノレール カーブでゆれる モノレール レールに載らず レールの下に ぶらさがって行く モノレール 飛行機に乗り 飛んでるみたい 下が…

市大病院のカフェ

横浜市金沢区の横浜市大病院で そら うみ ふね しま みずべのみどり あか しろ まだらの大クレーン シーパラダイスの三角屋根も 見える窓辺で コーヒーを飲む 市大病院十階のカフェ しだいに初夏の陽がかたむけば そら うみ ふね しま しだいに いろが うつ…

ふるさと村の五月

横浜市青葉区の寺家ふるさと村で 電車を青葉台で降り あるいて鶴見川に出る 遠回りでも 川岸を あるいて ふるさと村に来る ふるさと村の 山すその 木立の中にある店の 窓辺で ほっと コーヒーを のみながら見る 水 みどり 五月の午後の 陽に光り 風にふかれ…