モノタリーヌのばあい  25

モノタリーヌは いつも

なんとなくものたりないようなかおをしていたので

おっ ここは おれの出番かも

と かってに思って 男たちが ちかづいてきたが

いくらつきあってみても

モノタリーヌが いっこうにものたりてきそうにないので

あっ こりゃあ だめだ

と 自信をうしなって はなれていった

 

だめとわかると あっさり はなれていくのが

モノタリーヌには また ものたりなかった

なかには しつこい男もいたが

しつこいのは やはり いやだった

なかば 男なんかどうでもいい と思い

さしあたり もっと大事なことがあるような気もしたが

それがなんであるかは わからないまま

あいかわらず ちかづいてくる男たちを てきとうにあしらっていた

 

モノタリーヌが たのしく生きていなかった

ということはできない

モノタリーヌは 生きることが じゅうぶん たのしかった

じじつ モノタリーヌには たいていのものがそろっていた

もっとも たりないものがいっぱいあるばあいには

ものたりないとはいわない

もうひとつ なにかがたりない と かんじるとき

ものたりないというのである