ヒマジンガーの疑問 12
ヒマジンガ―であるわたしの忘れてはならぬこと それは
わたしはヒマジンガーだが人々はそうではないということだ
また わたしがヒマジンガーであることの根拠も
半ばはわたし自身の資質と意志にあるとはいえ
残る半ばは偶然でしかないということだ
ヒマジンガ―であるわたしがヒマジンガーでない人々の友であろうとするなら
わたしは彼らの生活をいそがしくしているもろもろの営みを
少なくとも大まかにはわかっていなければならぬ
また わたしは彼らにとって
多少なりとも利用価値のある存在でなければならぬ
ヒマジンガーが社会につながる王道は
ヒマジンガーにでなければ頼めないようなことを頼まれることだ
さて ヒマジンガーであるわたしが右の課題によく応えたとしたら
わたしはわたしのうちに或る力を養うことになり
いつの日か たまたまわたしがヒマジンガーではなくなったときにも
その力はわたしを救うだろうと期待してよい
しかし 考えてみると
ヒマジンガーであるわたしが右の課題に応えようとするなら
わたしには結構やることがあることになり
結局 わたしはヒマジンガーではなくなってしまうのではなかろうか