逃避行  ♪35

        (♪「討匪行」のメロディで)

 

どこまで続く ぬかるみぞ

三日二夜を いさかいて

顔そむけあう きみとぼく

 

いさかう気力 絶えはてて

このうえ おなじ屋根の下

居られはせぬと 別れ来ぬ

 

夜道を来れば いまさらに

あの度しがたき わからずや

おもいて またも はらがたつ

 

はらはたてども まて しばし

今夜 このまま 去るならば

ふたりの仲は これっきり

 

それもよかろう それもよい

いっそ さばさばするだろと

おもえど それは おもうだけ

 

まさかに それも なるまいと

こころ しずめて おもむろに

公衆電話に あゆみ寄る

 

かくて和解が成るのなら

外に出ないで うちに居て

話をつければ よかろうに

 

ひとたび 外に出ずしては

いかにするとも おさまらぬ

このこころこそ 不思議なれ