上越国境の秋  ♪30

        (♪「カスバの女」のメロディで)

 

出会いをもとめて  東へ西へ

今日は  上越線に乗る

ここは地の底  土合(どあい)

だれか降りるか  わたしだけ

出会いは  なかった  土合駅

 

壁の明かりが  ほのかに白い

闇に消えてく  わたしの足音

昇る階段  五百段

やっと出てきた  秋の野の

空に群れ飛ぶ  赤トンボ

 

ふもとのホテルで  コーヒー飲めば

となりの卓から  声かけてくる

「行くは  湯檜曾(ゆびそ)  谷川か」

ただなんとなく  ここに来た

わたしは  これから  どこへ行こ