声もたてず  ♪15

        (♪「早春賦」のメロディで)

 

父は名のみの 影の薄さや

日々の食事は ともにすれども

話あらずと 声もたてず

何もあらずと 声もたてず

 

対話もとめて 母子(ははこ)機を待つ

いまは時ぞと思う あな憎(にく)()

何をいっても うわのそら

何をきいても  うわのそら

 

父がおらねば いっそ気が楽

なまじおるゆえ 胸がふさぐを

いかにせよとか この父は

いかにせよとか この父は